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ポール・クルーグマンの論評(N225暴落に関して)

非常に含蓄深い見立てです。黒田バズーカは見せかけ以下の動きというわけです。
これなら彼の日銀総裁就任と同時に日銀出資証券がピークを打ち調整気味であることも何となく納得です。結局肝いりで総裁就任を果たしたのですが、日銀という伏魔殿に入るとだんだん魔物に取りつかれていくのでしょうか?
短期的な動きの分析
ポール・クルーグマン氏は、もし日本の株価下落が単なる大騒ぎ以上のものになるとすれば、それは
経済成長が期待したレベルに達しないのではという恐怖感
②日本の債務に関する恐怖感
③日銀の決意に関する恐怖感

のいずれかを反映したものだと述べている。
第1の恐怖感は株価の下落を説明できるが、債券利回りの上昇を説明できない
第2の恐怖感は債券利回りの上昇を説明できるが、日本円の上昇を説明できない。
しかし
第3の恐怖感は、債券利回りの上昇も株価の下落も円高も説明できる。これらはすべて、金融政策が約束されたものより引き締め気味であることへの反応だというわけだ。従って、3番目の恐怖感が最も妥当と思われる説明になるとクルーグマン氏は結論づけている。

関連議論

アベノミクスのブレーンである浜田エール大学教授は「日銀は更なる金融緩和が可能」との見解を示した。黒田総裁には「自らの判断を信じ、目標が達成できない場合は一段の緩和を実施すべきだ」と語った。
日本の政策変更が不安定さをもたらす要因になることも避けられない。

黒田批判
日銀の政策委員会の委員の一部は、現在の政策スタンスは市場を困惑させていると考えている。インフレ率の引き上げと金利の引き下げを同時にやろうとしている、というのがその理由だ。 債券市場が大きく変動したことで、黒田東彦・日銀新総裁への批判も出ている。銀行が保有している日本国債に損失が生じれば、経済再生に向けて銀行が貸し出しを行う能力も意欲も損なわれてしまうというのだ。


東京のイトウ・タカシ
「自国の為替レートを切り下げた、あるいは操作した国が、円安にしていると言って日本を非難できるとは聞き捨てならない話だ」と反発している。

中国・清華大学の李稲葵教授
「世界が目の当たりにしているのは(インフレ率の上昇などではなく)円相場の急速な下落である。この円安は、ほかの国々に対し不公正であると同時に持続不可能だ」と警鐘を鳴らしており、特に東アジアを中心に多くの賛同を得ている。
       中国は近年、大規模な為替操作を行う国でもあった。
       こうしたやり取りは確かに通貨戦争の様相を帯び始めている。

議論の評価
デフレを終わらせ、経済成長を再開させると決意すれば、日本国債の利回りは当然上昇する。インフレ率が年2%の安定した経済になれば、長期金利が0.5%という低水準にとどまることにはならないだろう。であれば、先週見られた債券利回りの小幅な上昇は、政策失敗の印などではない。むしろ、新しい政策が成功することを示唆する1つの前兆だ。日本が必要としている実質金利の低下をもたらすためには、金利の上昇が予想インフレ率を超えないことが重要だ。

金利対応のガイダンス
日銀は長期金利の道筋についてガイダンスを与えなければならない。金利が(恐らくは変動する)上限を超えた時には、無制限で買い入れを行うこと。日銀としては、多少の上振れがあっても、短期金利をゼロ%に維持する期間を明示することで、政策を後押しできる。例えば、(インフレ率ではなく)物価水準が特定のレベルに達するまで金利をゼロに据え置くこと。こうすることで日銀は一定の予測可能性をもたらせる。