(2017/10/18の記事です)
WTIの価格は2008年7月に1バレル=147ドル台まで上昇しましたが、翌年2月には39ドル台まで下げ、2011年2月には100ドル台までの戻りをやった後、2015年1月以降は50ドルを挟んだ動きが続いています。
かつて147ドルだった原油価格が50ドルまで下がれば、世界的な規模でマネーの総量はシュリンクします。産油国であるサウジアラビアが昨年、1.8兆円規模の赤字国債を発行したのは、原油安の影響で国の財政が回らなくなったからです。
本来なら、この時点で米国の株価は相当程度、下げなければなりませんが、現状、高値を更新しています。なぜなら、米国の中央銀行組織であるFRBが、ひたすら金融を緩和し続けているからです。
逆に利上げをすれば、マネーは一気にシュリンクして、米国株は急落するでしょうし、米国経済はいよいよデフレ経済が顕在化します。
もうひとつ、米国の株価上昇の背景にある「自社株買い」の問題点も顕在化するでしょう。自社株買いは、企業が借金をして自分の会社の株式を買うという行為です。そして株価を吊り上げ、経営者は多額の報酬を手にしています。言うなれば、強欲資本主義そのものといっても良いでしょう。
ということは、2万2800ドルという現在の米国の株価には、相当程度のレバレッジによるかさ上げ分が含まれていると考えられます。株価の先行きに不安感が浮上すれば、こうしたレバレッジは簡単に崩壊します。その分も含めて考えれば、米国株の足元は、かなり脆弱であるといわざるを得ません。
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今の日本の株式市場は、日銀のETF買いを通じて上昇している相場です。中央銀行がどんどん株を買っているという、非常に奇妙な相場
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