IPO公開直後からバブル崩壊 | ||||
米フェイスブック<FB.O>急落、公開価格割れ [21日] 前週末18日にナスダック市場に上場したソーシャルネットワーキングサービス(SNS)大手フェイスブック<FB.O>は21日、引受幹事各社による新たな買い支えが見られないなか売りが膨らみ、株価は一時13.7%急落した。 フェイスブック株のさえない値動きを受け、市場では他のハイテク銘柄への乗り換えも見られたという。 この日の終値は4.20ドル(11%)安の34.03ドル。公開価格の38ドルを下回るとともに、上場初日の18日につけた高値の45ドルからは約25%値下がりする格好となった。 フューチャーパス・トレーディングLLC(シカゴ)の先物アナリスト、フランク・レッシュ氏は「現時点では期待したほどではない」と指摘。「バリュエーションとしては、一部で『買い』とみた向きもいたかもしれないが、かなり割高だったと思う」と述べた。 出来高は引き続き膨らみ、この日は約1億6800万株と圧倒的首位だった。18日の出来高は約5億8100万株。株価下落の勢いが急だったため、寄り付きからわずか数分後に空売りを制限する取引一時停止(サーキット・ブレーカー)が発動された。 TDアメリトレードの首席デリバティブ・ストラテジスト、JJ・キナハン氏は「フェイスブック株をめぐって多くの感情的取引が見られた」と指摘。「週末の報道は否定的な内容がほとんどで、それが投資家の売りにつながった可能性がある」と述べた。 他のSNS関連株では、イエルプ<YELP.N>が3.5%高、共同購入クーポンサイト運営のグルーポン<GRPN.O>は7%急騰した。一方、ジンガ<ZNGA.O>は1%安、リンクトイン<LNKD.N>は2.2%安と明暗が分かれた。 フューチャーパスのレッシュ氏は、投資家の間ではアップル<AAPL.O>株を売ってフェイスブックを購入する動きが見られたが、フェイスブック株の値動きに対する失望感から、再びフェイスブックからアップルに乗り換える動きが出ていると指摘している。 一方、ブローカー750社の投資見解を世界の機関投資家に提供しているTIMグループの米州担当ゼネラルマネジャー、ティム・マーフィー氏は「フェイスブックに対する見方は38%が弱気で、62%は強気だ。ブローカーは顧客に対し、現在は投資の好機だと勧めている」と述べている。 <ナスダックの対応> フェイスブックのIPOをめぐっては、引き受け会社が決めた公開価格が高すぎたのではないかとの見方や、ナスダック市場が過去最大規模のIPOに対する十分な準備を怠っていたのではないかとの批判が出ている。 上場日の18日は、注文が約定されたかどうか確認できない状況が長時間にわたって続き、取引に大きな混乱が生じた。 これを受け、ナスダック市場を運営するナスダックOMXグループ<NDAQ.O>は21日、新規株式公開(IPO)を処理する取引システムを改善し、問題の再発を防ぐ方針を表明。さらに、適切に執行されなかった注文について、対処する方針を明らかにした。それにより、ナスダックは一部の投資家に補償する義務が生じる可能性もある。 ナスダックOMXグループのグレイフェルド最高経営責任者(CEO)は20日、システム障害について、注文取り消し処理機能の設計に問題があったことを認めている。 一方、関係筋によると、フェイスブックのIPOで主幹事を務めたモルガン・スタンレーのブローカー部門では、依然として「相当程度」の注文が未約定のままになっており、同社は手作業で約定作業を行っている。 |