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サイバーエージェントが、大胆なリストラに乗り出す。今期決算で大型の特別損失を計上し、「ガラケー」と呼ばれる従来型の携帯電話向けサービスを中心に不採算事業から撤退する。ここ1~2年で爆発的に普及したスマートフォン向けサービスに力を注ぐ。
サイバーエージェントは1月31日、2013年9月期第1四半期(12年10~12月期)決算を発表した。売上高は408億円(前年同期比27%増)となった一方、営業利益は15億円(同68%減)に縮んだ。スマホ専用サービス「アメーバスマホ」で展開した30億円の大規模広告宣伝が先行費用として、重荷となった。
特筆すべきは純利益の膨らみだ。本業の儲けを示す営業利益のほぼ倍に当たる32億円(同58%増)を計上した。これは、12年末にソーシャルゲーム子会社サイゲームスの株式をディー・エヌ・エー(DeNA)に一部譲渡し、60億円の特別利益が発生したことによる。
サイバーエージェントは1月末、ヤフーにFX(外国為替証拠金取引)事業を売却。サイゲームス分と合わせた通期の特別利益は160億円に上る見込みだ。同社は、年間を通した経常利益見通しを100億円(前期比41%減)と公表している。そのため、一連の税負担(法人課税、未上場株譲渡課税)などを踏まえると年間を通した純利益は約190億円程度に上るはずだ。
ところが、サイバーエージェントは年間の純利益見通しを120億円(前期比40%増)と公表している(売上高は1700億円<前期比20%増>、営業利益100億円<同42%減>の見通し)。ここで約70億円の差額が生じる。なぜなのか?
実は、この差額が大胆なリストラに踏み出す原資となるのだ。「明確な時期は定めていないが、成長が鈍化しているガラケーに関連したサービスの撤退を予定している。計算上ではそう(70億円程度の特別損失を計上することに)なる」(広報・IR室)。
昨年から藤田晋社長は「スマホに総バリで経営資源を投下しており、ガラケー、パソコンには注力してない」と語っており、スマホへの完全シフトを進める過程で“膿出し”を行う必要があった。株式や事業の売却でひねり出した特益を特損と相殺できれば、税金対策にもなる。リストラを行うには絶好のタイミングなのだ。
こうしたアセットライト(資産圧縮)を推し進める背景には、ネット業界の古株でありながら、規模、収益性ともに先行を許したグリー、ディー・エヌ・エー(DeNA)の存在が大きいと言えそうだ。
売上高では2社の後塵を拝し、資産効率を表すROA(=Return On Asset。総資産利益率)はそれぞれ前期末でグリー29%、DeNA22.6%に比べ、サイバーエージェントは6.2%にとどまる。
会社の命運をかける「アメーバスマホ」はゲーム一本足でなくコミュニティ機能があるという点でグリー、DeNAと違いはあるが、サイバーエージェントも2社とほぼ同様のビジネスモデルを志向しており、2社と比肩する経営指標の獲得が一つの目安になる。
「仮想敵はいない」と藤田社長は語る。だが、大規模宣伝のかたわら潤沢なキャッシュを獲得、さらに資産の組み替えを素早く遂行するという今期の決算――。藤田社長の脳裏には、緻密な戦略が隠されているようだ
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サイバーエージェントFXの株式譲渡により売却益が約100億円発生。2013年2月1日より当社連結業績から外れる見込み。株式譲渡日2013年1月31日 Cygames の株式譲渡により売却益が約60 億円発生する見込み。株式譲渡日 2012 年12 月28 日 ▶(利益上乗せ 早くしろヨ) |