民間非金融法人の保有する現預金の推移 |
資金の積み増しは、企業が新規投資に後ろ向きなことを反映している。この問題は、企業が2008年の金融危機で生産や輸出に大打撃を被って以降続いている。 企業が新規投資を先延ばししてキャッシュを貯めこんでいるのはまた、過去15年間デフレが続いてきた結果でもある。日銀の統計によれば、昨年度末時点の企業の国内投資残高は、前年度比6.2%減の46兆円にとどまった。 企業には資金があふれており、銀行から借り入れる必要性はほとんどない。このため、昨年度末の企業の銀行借入残高は前年度比1.7%減と、4年連続で減少した。日本企業は一方で、過去数年間国内に比べ成長が高い海外での支出を拡大している。国内投資が不振で銀行の融資需要が弱いことは、日銀にとって懸念すべきことだ。 日銀は企業の支出・投資を刺激するため、市場への資金供給を2倍に増やし、金利を押し下げ企業の借入コストの削減を図っているが、企業は借り入れに消極的だ。 |
手元資金の増加の一因には企業利益の改善もあるため、国内投資はこれから増加していく可能性もある。だが多くの企業首脳は、それは安倍晋三首相が国内投資促進のため企業減税などの公約を実施するかどうかにかかかっていると指摘する。 安倍内閣が6月初めに発表した成長戦略は市場を失望させた。投資促進策を打てるかどうかが、アベノミクスが日本株式会社の姿勢を変えることができるかどうかの試金石となるだろう。 |