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日本企業の手元資金過去最高225兆円




資金が豊富な日本企業が昨年度(2012年4月-13年3月)に手元資金をさらに積み増したことが明らかになった。遊んでいる資金を還流させ経済の活性化を図ろうとしている政府・日銀にとっては歓迎すべからざるサインである。

日銀が6月19日発表した最新の資金循環統計によると、金融機関を除く日本企業が保有する13年3月末時点の現金・預金は前年と比べ5.8%増の225兆円と過去最高に達した。現金・預金は日本企業の金融資産残高の26.7%と、項目別で最大のシェアを占めている。
ウオールストリートジャーナル





民間非金融法人の保有する現預金の推移



資金の積み増しは、企業が新規投資に後ろ向きなことを反映している。この問題は、企業が2008年の金融危機で生産や輸出に大打撃を被って以降続いている。
企業が新規投資を先延ばししてキャッシュを貯めこんでいるのはまた、過去15年間デフレが続いてきた結果でもある。日銀の統計によれば、昨年度末時点の企業の国内投資残高は、前年度比6.2%減の46兆円にとどまった。
企業には資金があふれており、銀行から借り入れる必要性はほとんどない。このため、昨年度末の企業の銀行借入残高は前年度比1.7%減と、4年連続で減少した。日本企業は一方で、過去数年間国内に比べ成長が高い海外での支出を拡大している。国内投資が不振で銀行の融資需要が弱いことは、日銀にとって懸念すべきことだ。
日銀は企業の支出・投資を刺激するため、市場への資金供給を2倍に増やし、金利を押し下げ企業の借入コストの削減を図っているが、企業は借り入れに消極的だ。






手元資金の増加の一因には企業利益の改善もあるため、国内投資はこれから増加していく可能性もある。だが多くの企業首脳は、それは安倍晋三首相が国内投資促進のため企業減税などの公約を実施するかどうかにかかかっていると指摘する。
安倍内閣が6月初めに発表した成長戦略は市場を失望させた。投資促進策を打てるかどうかが、アベノミクスが日本株式会社の姿勢を変えることができるかどうかの試金石となるだろう。