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フォーサイドドット<2330>

「2007/03/01 これはもう「経営」とは言えない。前期は600億円超える最終赤字 もはや適切な言葉が見当たらない。 当社は2月28日早朝、前06年12月期決算発表の遅延と特別損失の発生等を発表した。前期(変則14カ月決算)の正式な発表は3月中旬になるが、最終損失が606億円に達するという。いやはや。 昨年12月には最終損失が295億円になるとしていたが、さらに拡大した訳だ。損失拡大リスクについては過去の本欄記事でも指摘してきた。それにしても…だ。 赤字拡大は、従前より方針を示しながら実現していなかった欧州子会社の売却が主因。05年に買収した英国子会社に別の子会社を吸収したため、欧州子会社へのトータル投入額は480億円に及んだ。これを76億円で売却したという。ただ欧州子会社への単体からの貸付金44億円の回収を含むため、実際の資金回収額は120億円となる。実際の売却は2月末だが、前期で減損処理する。すでに中間時に119億円の減損を行っているが、これが約400億円に膨れ上がったことになる。 欧州子会社の売却先は、この子会社の元経営者が代表を務める受け皿会社。会社側によるとスポンサーはゴールドマン・サックスほかで、ゴールドマンが受け皿会社に元経営者を引っ張ってきたと言う。が、2年余の間に480億円で買った会社群を76億円で売却しているのだから、驚かされる。ちなみにゴールドマンは、欧州子会社のメインであった英国子会社買収時のフォーサイド側のアドバイザーだった。 昨年12月には、消費者金融キャスコでも、1年余り前にトータル120億円で買収した企業の株の大半を1億円で売却している。単純に経営判断のミスとしても、あまりにも気前が良過ぎる。 当社は04年4月に73億円、8月に195億円を公募(いずれも手取り概算)、さらに05年にはMSCBで500億円を調達している。これらは、おそらく個人投資家から集めた資金だ。それを海外企業買収にざっくり600億円、キャスコほか国内企業に約150億円投じた。そして、600億円近く損をして見せた格好。こんなことを言いたくはないが、04年の2回の公募増資時には、同時に安嶋幸直社長らが売り出しを行い、40億円近くを得ている。 さて、米国を除いて海外はほとんど撤退。国内も興行会社、消費者金融と手放し、残ったのはほぼ単体だけということになった。ただし、今期は欧州子会社分の売上高が2カ月分、約37億円計上される。米国は数億円、国内は20数億円なので、今期の売上高は65億円程度と予想される。これは28日に会社側が出した中期再生プランの数字と同じだ。08年12月期には75億円を目標としているが、再びM&Aでもしない限り、まず達成は困難だ。欧州を売却した以上、今期の実力値は売上高30億円程度。来期に倍増するとは考えにくい。 そして利益だが、欧州と北米の利益をほぼ無視すると、参考になるのは単独の実績。大赤字ではあるが、子会社群がなくなったことで管理コストの圧縮は可能だろう。再生プランでもコスト削減については詳細に述べられている(数百億円損をしておいて今更という気もしなくはないが…)。ただ、会社側への信頼が失われた現状、今期の黒字予想は立てられず、赤字予想にしてある。 最後に、これだけの巨額赤字を出しても債務超過にはならず、現金が約100億円残るため、規模さえ縮小してしまえば経営は成り立つようだ。一見不思議だが、株を刷って得た700億円があったればこそ、という事実を忘れてはならない。会社側が事業で生み出した利益だけならば、この損失で吹き飛んでいたはずだ。もっとも、事業で生み出した利益では、これだけの大博打はできなかったのだが。 経営基盤が脆弱な新興企業が期待だけで巨額の資金を集められる。株式市場とは、罪なものでもあるようだ。【某記者】
  (百万円)   売上営業利益 経常利益  当期利益  1株益¥ 1株配¥
連本2005.10   41,469  1,464   1,608   -9,735    -5344 150  0
連本2006.12予 74,300  7,300   7,870   -60,650   -25465 0  0 」