常磐興産。今2013年3月期は、営業利益がV字回復の黒字化。スパリゾートハワイアンズなど観光事業が、好調。会社側は3月上旬、今期の利用者数見通しを日帰り客139万人、宿泊客38万人に再度引き上げた。常磐興産の斎藤一彦社長は、年初の常磐グループ新年祝賀会で、「来期(14年3月期)は150万人を目指す」と宣言。これが実現すれば、東日本大震災後の11年11月に発表した「新中期経営計画」で掲げた16年3月期の年間日帰り客155万人の目標を、2年前倒しでほぼ達成する石炭卸売事業も、原発停止に伴い、販売量が拡大。東京電力や東北電力向け出荷も活況。最大顧客の常磐共同火力(福島県いわき市)は、旧・常磐炭礦が設立した火力発電会社。現在は東北電力と東京電力が持ち株比率で49.11%ずつ出資する大株主。常磐興産も0.62%を出資する第3位株主。常磐興産の斎藤社長が同社の社外取締役の1人に名を連ねる。常磐共同火力が4月から、次世代の火力発電とも目される「IGCC(石炭ガス化複合発電)」の商用運転を開始する。IGCCはもともと、電力会社などが出資するクリーンコールパワー研究所が、常磐共同火力の勿来(なこそ)発電所内で2007年から実証試験を行ってきた。ボイラー内で石炭を固体のまま燃焼させる従来型石炭火力に比べ、IGCCではガス炉内で石炭をガス化して発電することから、発電効率が高く、発電電力量当たりのSOx、NOx、煤塵(ばいじん)の排出量を低減できることなどが大きなメリットだ。 | 勿来発電所内におけるIGCCの実証試験研究は3月で終了。4月からは常磐共同火力が、クリーンコールパワー研究所を吸収合併したうえで、IGCC発電設備を商用運転していくことになる。実証試験に比べれば商用運転のほうが石炭消費量が増えるため、「常磐共同火力への石炭供給は増える」と会社側では見ている。 震災からの業績復興を目指して、常磐興産が11年11月に策定した新中期経営計画では、今13年3月期は売上高391億円、営業利益1.8億円、最終損益が8.4億円の赤字と控えめな目標を掲げていた。 が、この春休みの順調な集客状況も反映したうえで、会社側が3月上旬に発表した最新の見通しによれば、今期の売上高は471億円、営業利益は16億円。最終利益に至っては震災復興関連の補助金が特別利益として計上されることもあり、過去最高だった1989年3月期の16.2億円を上回る19.7億円が見込まれている。 なお、新中期経営計画によれば、来14年3月期の経営目標は、売上高472億円、営業利益20.6億円。本業の観光事業の好調に加え、第2の柱である卸売事業も石炭販売を中心に好調が見込まれるため、中期計画目標達成の確度が高まっている。 中期計画では、最終利益については11.4億円と今のところ特別利益を見込んでいないが、東京電力から福島第一原発事故の風評被害に対する補償金が支払われた場合、最終利益が膨らむ可能性もある。また、常磐興産は震災を受けて前々期の11年3月期から無配に転落したが、来期は復配の公算もありそう |