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原油安の背景と影響


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  • WTI原油、5年8カ月ぶり50ドル割れ―サウジは20ドル台も覚悟
  • 加速する原油安
    米ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)で5日、原油価格の指標となるWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)2月物が1バレル=50ドルを割り込んだ。期近物の50ドル割れは09年4月29日以来5年8カ月ぶりで、その後も下落は止まらず7日の電子取引(時間外取引)には46.83ドルを付けている。  




             





     WTI原油 NYMEX2年
     
     

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    • 原油価格急落の契機となったのはOPEC(石油輸出国機構)が昨年11月27日開催の総会で、生産枠の現状維持を決めてから。サウジアラビアが米国の「シェール革命」つぶしを狙い原油価格の一段安を認めたと判断され、下落が加速した。OPECの実力者であるサウジアラビアのヌアイミ石油鉱物資源相は年末、「価格がいくらであろうと、(OPECの)加盟国が減産することは利益にならない。20、40、50、60ドルに下落してもだ」と雑誌インタビューで発言。クウェートのオメール石油相も6月の総会前に緊急会合開催はなく、減産も不要とした。サウジの国家予算前提は67ドルと推定されており痛手とは思われるが、生産コスト自体は10ドル程度とされ推定70ドル前後のシェールオイルに比べればはるかに格安。この程度なら耐えられるという自信があるようだ。

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      • <米石油掘削リグ稼働数、前週比61基減 24年ぶりの大幅な減少>
        米国内の石油掘削リグ稼働数は前週比61基減と24年ぶりの大幅な減少を記録した。原油相場の下落により米国のシェールブームに急ブレーキがかかっていることが浮き彫りになった。リグ稼働数は1421基と2月以来の低水準で減少は5週間連続。依然として前年同月の水準を28基上回っているが、アナリストは原油相場が1バレル=50ドル付近にとどまれば、リグ稼働数はさらに減少するとみている。シェールオイルやシェールガスの掘削に使用される水平リグの稼働数は35基減の1301基だった。減少は7週間連続で少なくとも1991年以降で最大の落ち込みとなった。垂直リグも12基減の288基と少なくとも91年以降で最も低い水準だった。天然ガス掘削リグ稼働数は前週比1基増の329基。




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  • <下落の主要因は米利上げ観測>

    ただ、原油価格下落の主要因は米国の利上げ観測からくる短期金利の上昇だろう。原油先物市場は投機筋が約6割。「彼らはレポ取引などで短期資金を調達し、レバレッジを掛けて投資しているため、短期金利の少しの変化でも大きな影響を受ける」(SMBC日興証券)ため、利上げ期待による調達コスト(レポ金利)の上昇により手じまいが加速している可能性は否定できない。

    米国の利上げ期待(=レポ金利の上昇)は好調な米経済指標が背景にある。米経済指標の好結果が続けば利上げ観測はさらに高まる。9日の米12月雇用統計が前月同様の強い内容なら、原油価格は一段安となりそうだ。また、年前半まで範囲を広げても、IEA(国際エネルギー機関)などの石油需要予想が上方修正されるかOPECが減産しない限り、下落傾向は続く可能性がある。

    WTI原油がどこまで下落するかを予測するのは難しい。市場では40ドルを予想する声が多くなっているが、リーマン・ショック後の32.4ドルまで明確なフシはないのが実情。2000年前半は30ドル台を中心に推移していた。米利上げ期待が続き、サウジの頑なな姿勢が崩れなければ30ドル台も十分あり得る。

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  • <下落時に価格上昇する原油ETFも>

    原油価格の下落が影響を及ぼす銘柄は何か。WTI原油1671、原油1690 、野村原油1699 、原油ブル2038 といった原油関連ETF(上場投資信託)には当然マイナス。昭シェル5002 、コスモ石5007 、出光興産5019JX5020 、国際帝石1605、石油資源1662 、伊藤忠8001、丸紅8002 、三井物産8031 、住友商8053、三菱商8058といった原油上昇メリット株にも逆風となる。

    ただ、なかには原油ベア2039といった原油価格の下落局面に価格が上昇するETFも存在しており、下落局面が続く場合はこうした銘柄は選考対象の一つになるだろう

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