信用緩和効果を意図した日銀の社債買入れ。日銀が東電債に一定の信用供与をしたことで「東電債はデフォルト(債務不履行)への懸念が和らいだ」(国内金融機関)として一定の効果を評価する声が出ている。一方で、原発被害の賠償問題や経営への政府関与などで不透明感があるため「東電債に対する市場の懸念は残るだろう」(UBS証券の後藤氏)。約5兆円に上る東電の社債残高を踏まえると、現在の日銀買入額では「焼け石に水」とも言える。
日銀は大震災後の3月14日の金融政策決定会合で打ち出した金融緩和強化策として、社債買入額を総額0.5兆円程度から2兆円程度まで4倍に増額。今回のオペから1回あたり1500億円と前回(1000億円)から増やした。市場には、日銀が必要以上にリスク資産を買い取り、マーケットメカニズムに関与することへの警戒感はあるが「量的緩和を強化するよりも質的緩和の強化の方が市場に受け入れられやすい」(銀行関係者)という。震災後の復興需要で企業の資金需要が強まることを考慮すると「企業資金調達コストの低減を狙って買入対象や制限をもっと緩和してもいい」(前出の国内金融機関債券関係者)との声もある。(出展ロイター日本語ニュース)