一時期は鈍重でどうしようもない日立が力強い。
経営者が更新して新生日立で二期目のトップだが
経営者次第でこうも変われる。
最低単位株を捨てたつもりで持っていても日立
の場合は報われそうだ。
「日立製作所は、発電所用のタービンや発電機
などを手掛ける電力システム社日立事業所(茨
城県日立市)の操業度が震災前の9割にまで回
復したことを明らかにした。同事業所は3月29日
に一部を除いて製造を再開、復旧作業は順調に
進んでおり、4月末までには全面操業に復帰で
きる見通しだ。
同社は茨城県を中心に7工場が被災したが、昇
降機を生産する都市開発システム社水戸事業所
(同ひたちなか市)も一部のエスカレーターなどで
生産を再開。部分操業も含めれば、7工場すべて
が再開を果たした格好だ。
震災後にいったん保留としていた2011年3月
期末の配当予想も、被害状況の確認が進んだこ
となどから、従来予想どおり「3円」にすると発表。
震災による業績、財務への影響は、それほど深
刻ではない様子だ。
「東洋経済オンライン」も、11年3月期業績予想
は据え置きとし、配当予想も会社計画どおり年間
8円とした。一方、12年3月期配当予想は6~10
円の従来予想まで再度増額する。
12年3月期業績は震災で不透明感が強いが、
電力インフラなど復興需要を中心に堅調な業況が
続くと想定。ただし、9月末に予定しているハード
ディスクドライブ事業の米ウェスタン・デジタル社
への売却によって、売上高、営業利益のベース
は切り下がる公算が大きい。反面、巨額の株式
売却益が発生する見込みで、純益は膨らむ見通
しだ。12年3月期予想は、下表のように従来予
想(売上高9.6兆円、営業利益4700億円、経常
利益4400億円、純益2350億円)に対し経常利
益までを減額、純益を増額とした。
原発問題の収拾に向けては、米GE(ゼネラル・
エレクトリック)、米電力大手エクセロン、米プラン
ト大手のベクテルと連携、廃炉までを含めた中長
期での事故処理計画を東京電力に提案する方向
で体制整備に動いている。廃炉などのノウハウに
長けたフランス電力公社(EDF)とも、協力関係構
築に向けて交渉中だ。
電力不足解消に向けても、火力発電所の再稼
働を支援するため、これまでに延べ300人の技術
者を現地派遣。ガスタービンをはじめとする発電設
備の新設や増設の要請に対応できるよう、生産能
力拡大に全力を挙げている。また、日立事業所の
臨海工場などにある自社の自家発電設備も、東京
電力の配電線網につなげ、電力供給可能な体制を
整えつつある」出展東洋経済新報社600