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LMEがニッケル取引取消と再開顛末

「市場は厳しいものになっていきつつある」        
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  • *22/03/10*豊島逸夫
    ニッケル先物価格が暴騰した顛末(てんまつ)が詳細に報道されている。市場で大きな話題になり、かつ強い批判があがっている。ショートスクイーズ(空売りの締め上げ)が膨らんだ当日の多くのニッケル先物売買を、ロンドン金属取引所(LME)が取り消すとは開いた口がふさがらない。「取引所の看板を降ろせ」との怒号も飛び交う。
  • LMEといえば歴史ある取引所で、LMEの価格といえば世界的な指標である。LMEの声明文も市場関係者の神経を逆なでする。「いまや未曽有の事態。長期的な市場安定と短期的な市場関係者の売買益の二択であった」と断腸の思いでの決断というわけだ。LMEは現在、香港の取引所傘下となっている。今回問題となった世界最大級のニッケル生産会社も中国企業で、取引銀行は中国建設銀行。銀行団の緊急融資でマージンコール(追加証拠金)を支払ったとされる。背景には中国の金融監督当局の存在もちらつく。さらに、
  • 株式相場と商品相場の関係がインフレを視野に特に密接になっていることも指摘されている。9日のニューヨーク市場における株価の急反発は、原油の大幅反落が引き金となった。一番驚いているのは原油先物市場だ。ひたすら短期での収益追求へ投機的な売買を繰り返してきたが、その結果がここまで株価に影響を与えるとは想定外だったようだ。マクロ経済の視点では、これまで有事対応で進めてきた非伝統的な金融政策による超緩和が、いよいよ引き締めへ移行する歴史的過渡期にある。ディスインフレからインフレに転換し、それと同時進行でウクライナ戦争、米ロ新冷戦の兆しが顕在化している。2022年3月は後世の経済学の教科書にも登場しそうだ。
  • LMEが言うとおり、未曽有の状況にある。商品価格も未曽有の乱高下となっている。ほぼ2年前に大底をつけた原油先物が、今や100ドル超。下にも上にも行き過ぎを繰り返し、徐々に需給が均衡する価格に収れんしてゆくはずだが、未曽有の状況であるがゆえに未体験ゾーンで、理論的な均衡価格のメドが立たない。

  • 視界不良の地合いは、投機筋の草刈り場と化す。原油相場という「賭場」では上げの「丁」が当たってきたが、昨晩は下げて「半」の目が出た。これで米国株が大幅に上昇するのに市場参加者はクビをひねり、持続性には半信半疑だ。
    • 2012年6月香港取引所はLME買収を発表。LMEの親会社であるLMEホールディングスは7月に開いた株主総会で、買収に関する議案を株主の圧倒的多数の賛同を得て可決。2012年11月30日英金融監督当局、香港取引所のLME買収を承認 
      ---聴牌即ロン---
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*22/03/15*
LMEが有無を言わせぬ強権発動。22/03/08以降のニッケル取引を無かったものとして取消措置。*LMEの自殺行為*

  
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    LME* 


    *決済されたニッケル契約に関して (i) 英国時間午前0時以降に約定した全ての取引を取消す。 2022 年 3 月 8 日にオフィス間市場及び LMEselect において、追って通知するまでの間(影響を受ける契約)。 (ii) 2022 年 3 月 9 日に受渡しが予定されている全ての物理的に決済されたニッケル契約の受渡しを延期する。 その後に予定されている配達が不可能な日(LME が判断したもの 本通知の手続きに従い、取引停止処分とし、市場へ通知します。*
     中略抜粋
    *今回の出来事は前代未聞
    *LME はここに、影響を受ける全契約を取り消す権限を行使する
    *会員がこれらの指示に従わない場合、当社は、当該会員に対して、当該会員が保有する株式を取り消す権利を有するものとします。
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  • ⮞取引再開
    1. 本通知は (i)LMEニッケル取引の取引再開時刻をロンドン時間8:00とすることを確認する。 2022 年 3 月 16 日(水)(以下、「再開日」)には LME の全執行場所において、

    (ii) すべてのベースメタルにおけるすべてのアウトライト契約に、一日の上限価格と下限価格が適用されること。

     (iii) 3月23日(水)の水準での引渡しの延期についての詳細です。 3月16日(水)以前に締結され、3月16日(水)までに受渡しが予定されているすべてのニッケル契約

    (iv) 3 月 16 日(水)から 22 日(火)までに適用される説明責任レベルについて詳述する。 また、再開日以降のニッケル契約に関する情報収集の方法について説明する。 取引所および店頭のニッケルの総ポジションに関連して会員に適用されるもので、

    (v) 公式発表の決定と公表に関するLMEのアプローチに関する追加ガイダンスを提供する。 価格と終値のいずれかが正式に公表されない期間中は、価格と終値のいずれかが正式に公表されます。

     LME は、混乱した事象のために、このような事態が発生したことを認識しています。

顛末
    • 2022年03月15日(火) bloomberg
    • 魔の「18分間」頭から離れず-ニッケル市場大混乱、存続懸かる各社
    • 3月8日に起きたロンドンのニッケル市場崩壊は現地時間午前5時42分(日本時間午後2時42分)だった。普段なら出勤途中のトレーダーが相場をちらりとチェックする程度だが、この日ばかりは電子市場の価格スクリーンに目がくぎ付けになった。 ニッケル価格は通常なら1営業日でトン当たり数百ドルの変動だ。過去10年間の相場はほとんど1万ドルから2万ドルの間での推移だった。7日に始まった高騰は、8日午前5時42分までに史上最高値を更新していたが、さらにわずか数分で3万ドル急騰。午前6時過ぎ、ニッケルは10万ドルを突破した。 商品取引所の参加者にとって、価格の上昇は必ずしも朗報ではない。鉱山会社やトレーダー、メーカーは相場下落時に利益を確保するため信用取引でショートポジション(売り持ち)を組むが、実際の相場が逆方向に大きく動くとマージンコール(追加証拠金請求、追い証)が生じる。 Nickel Price per metric ton Source: Compiled by Bloomberg ロンドンのある金属ブローカー責任者は、値動きを見て気分が悪くなったと振り返る。価格高騰が自分の会社と市場、そして世界の金属業界にとって何を意味するのか理解したからだ。「この18分間が頭から離れない」と公に話すことが認められていないして、匿名を条件に打ち明けた。 わずか24時間余りでのニッケル250%急騰は、業界を混乱に陥れ、逆方向に賭けていたトレーダーに巨額の損失をもたらした。ロンドン金属取引所(LME)は約30年ぶりにニッケル取引停止を強いられた。 価格急騰の主因は記録的なショートスクイーズ(踏み上げ)だ。中国のニッケル生産会社、青山控股集団を通じ創業者の項光達氏はショートを大きく積み上げていたが、激しいショートスクイーズに見舞われた。 個人投資家を昨年魅了した米ゲームストップなどミーム株の取引でもショートスクイーズは発生したが、今回は世界経済全体に影響が及ぶ資源が標的となった。ニッケルはステンレススチールの重要な材料であり、電気自動車(EV)電池を製造する上で最も重要な原材料の1つだ。 英商社コンコード・リソーシズのマーク・ハンセン最高経営責任者(CEO)は「自分のキャリアの中で目にした最も無秩序な金属価格の動きだ。7、8両日に加速した投機に熱狂したが、これが重要な実物の商品であり、ビデオゲームの小売会社ではないことを人々は失念していた」と語った。 relates to 魔の「18分間」頭から離れず-ニッケル市場大混乱、存続懸かる各社 LMEのトレーダーやブローカーら(2月)Photographer: Chris J. Ratcliffe/Bloomberg ロシアのウクライナ侵略で何もかも一変。ロシアは世界3位のニッケル産出国で、LMEで取引されるタイプの精錬ニッケル最大の輸出国だ。ロシアのニッケル輸出に制裁は科せられていないが、米欧の買い手はロシア産以外のニッケル確保に走った。 1958年生まれの項氏は中国商品業界の「大物」だ。単なる金融トレーダーではない。項氏のポジションのうち、どの程度が純粋な価格ヘッジあるいは投機と同氏が考えていたのかは分からない。ドイツのメタルゲゼルシャフトにしろ住友商事にしろ、ヘッジと投機の境目は曖昧で、巨額の損失を出したという話は商品市場の歴史の中でいくらでもある。 How the Global Nickel Market Changed in 18 Minutes ニッケル相場は8日、1トン=10万ドルを突破したSource: Bloomberg ブルームバーグは関係者数十人に話を聞いたが、多くは非公開情報だとして匿名を条件にニッケル市場で何が起きたかについて教えてくれた。 それによれば、昨年の売上高が3520億元(約6兆5200億円)だった青山は、今年2月下旬から3月初めまで追い証を遅滞なく支払っていた。だが3月7日、ニッケル価格は3万ドルから5万ドル余りに高騰。LMEのブローカーとその顧客は追い証に次ぐ追い証への対応に追われた。幾つかの大手ブローカーでは各10億ドル近い追い証が生じた。青山の追い証はさらに大きく30億ドル(約3550億円)程度だ。同社の売り持ち合計を基にブルームバーグが算出した。 青山の取引銀行・ブローカーはJPモルガン・チェースやBNPパリバ、スタンダードチャータードなどで、これらの金融機関は厳しい状況に置かれた。追い証の支払いを受けずに青山との取引を相殺するポジションを取ったが、一部がニッケル買い戻しを急ぎ始め、ニッケル急騰がさらに進み、古典的なショートスクイーズになったという。 青山だけが追い証に苦しんでいるニッケル会社ではない。最大手というだけだ。多くの生産会社やトレーダー、ユーザーがLMEでショートポジションを持っており、準備資金の何倍ものマージンコールに直面している。ブローカーのバンズ・ファイナンシャルの創業パートナーで元LME取締役のジョン・ブラウニング氏は「相場が10万ドルに向かっているときダメージを実感していた各社は、存続を懸けた闘いだと分かっていた」と話した。 LMEは8日午前に行われた取引を全て取り消すという異例の措置を決定。ブルームバーグの計算によれば、39億ドル相当だ。ニッケル価格8万ドルに基づく追い証支払いの必要がなくなることを意味し、市場を事実上7日の終値4万8078ドルの時点に巻き戻すことになる。この決定については批判が噴出しており、LMEの存在意義について疑念の声が高まっている。LMEはニッケル取引を16日に再開すると発表した。

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